異物混入問題について言わせてくれ

それはペヤングから始まった。

サイレントナイト

僕はその日もいつものように何気なくペヤングを食べながらヤフーのトップページを開いた。ヤフーのトップページを見るときに僕には順番がある。まずはニュース、そしてスポーツ。以上。ニュースは気になったものを見て、スポーツは全部読む。
目に入ってきたのは「ペヤングにゴキブリ混入」という記事だった。僕はその時ペヤングを食べていたにもかかわらず「へー、油でカラッと揚がっててよかったやん!」ぐらいの気持ちでいた。だからどうしたって気持ちだった。しかしこのニュースが僕の生活を一変させるとはこの時は露にも思わなかった。

僕の身体はペヤングでできていると言っても過言ではない。毎日一個のペヤングを精神安定剤として食べていた。僕にとっては処方箋みたいなものだ。しかしこのニュース以降スーパーやコンビニからペヤングが消えた。そう、僕にとっての処方箋がいきなり世の中から消えたのだ。僕は憤慨したが、この気持をどこにぶつけていいのかわからないまま時は過ぎ行くだけだった。もちろんUFOで代用を試みたことはある。しかし麺のコシとソースのスパイシーさ加減が違いすぎたことで、精神は病む一方だった。しかしながらこのニュースの発端となったTwitterアカウントの主をDisっても始まらない。僕はある行動にでた。スーパーやコンビニの在庫はまだ倉庫に眠っているはずだ。そこに潜り込みさえすれば手に入れられるはずだ。さて、どうすれば潜り込めるかだ。一応20歳を超えている。(もちろん年齢に関係ないが。)完全犯罪でなければSNSで叩かれまくりだ。そこで近くのコンビニの店員の動きを調べあげいつどのタイミングに隙があるかを調べあげた。しかしこのプロジェクトは一人ではだめだ。秘密裏に今や閑散としているmixiのペヤングコミュニティーに偽アカウントで一文書き込んだ。「ペヤングのために立ち上がれる老若男女求む」。

戦いの火蓋は切って落とされた

運搬係のKは栃木出身のバリバリのペヤンガーだ。あえて本名は聞かなかったが、同じ目的のもと集まった我々にそんなことはどうでも良かった。最初の連絡をくれた彼は私以上に禁断症状が見られた。そう、肌の色から茶色が消えてきていたのだ。僕よりもまず彼を助けなければという使命感にかられた。連絡係のサリーは名前から想像するよりも年齢が行っていた。しかし年齢の分我々の中では一番ペヤング歴が長く、その味の微妙な遍歴について話してくれた。彼女曰く「それでもペヤングはいつも裏切らなかった」そうだ。もちろん我々皆が強く結びついているのはその気持があってこそだが。見張り係には最年少、5歳の雄太くんに頼んだ。雄太くんは妖怪ウォッチに目もくれずペヤングばかりを追いかけているという、この歳にして少しばかり心配になる生き方をしていたが、熱意は誰よりも熱かった。「僕らの未来を取り戻すんです」と言われたら、プロジェクトを成功する以外に何ができよう。そして僕自身が店内からペヤングを持ち去る係だ。ここはやはり私がする以外ない。Kは同じ町内の住んでいたから道に関しては問題がなかったが、やはりコンビニ固有の「間」をこの短期間で会得するのは無理だ。

狙いは3丁目の陸橋の下にあるサークルKに決めた。店内の配置は他店と少し違い、バックヤードが見えにくくなっていた。多分店長の裁量が大きい店舗なのだろう。決行日は1月1日の2時。前日に我が家に集まり、ルートを確かめた。テレビの中の桑田佳祐はのんきに現内閣を批判していた。サザンが嫌いではなかったが僕はもっと大事なことがあるだろうという苛立ちからテレビを消した。決起集会としてサリーが持ってきた残りのペヤング1個を分けあった。一杯のペヤング。もちろん雄太くんには沢山食べさせてあげた。

成功確率は50%。イチかバチかの賭けだ。我々は最後のペヤングを飲み込み、決行時間までを各々自由に過ごした。

誰がためにペヤング

うとうとしていた僕を起こしてくれたのはKだった。淹れたての温かい珈琲を渡してくれた。起きると皆戦闘態勢になっている。時計の針は1時半だ。ここからサークルKまでは歩いて10分。逃走先はKのアパートだ。Kは近くの駐車場に車を取りに行くと言って僕の家を出た。高揚感からか少しだけ声が上ずっていた。「じゃ、現場でな」と扉を締める間際に言った一言が我々のスイッチを入れた。

1時45分。我々3人は歩いてターゲットに向かった。新年明けたからと言って人通りは少ない。皆神社にでも言ってはしゃいでいるのだろう。僕にはなぜはしゃげるのかが理解できず少し憤りを感じたが、そんな僕を見たサリーが「今年は最初からどでかいことができて、いいね!」と言ってくれた。雄太くんも「未来は自分たちで作るもんだって、改めて思ったよ!」なんて言葉をかけてくれる。どっちがリーダーだよって思わず口に出したが、「リーダーは兄貴、しっかり頼みます。」という一言で覚悟を決めた。

1時55分、サークルKの目の前に到着した僕らは店内にKを見つけた。さり気なくカップ麺売り場の前で焼きそばを見つけるふりをしていた。緊張が高まる僕らだったが、Kの態度が嫌に落ち着いているのをみて冷静を保つことができた。

そして時計の針が2時を指す。

Kが欲しいものがなかった素振りで雑誌コーナーに移動した。我々は店内の見える、且つ店内からは見えない陸橋の上から僕、そしてサリーと雄太くんペアに別れて歩き出した。

我々の2015年がここから始まる。もうすぐ未来は手の中だという気持ちを抑え、一歩づつ階段を踏みしめながら降りていった。

これが成功したら「誰がためにペヤング」と言う歌詞で歌をつくろう、そんな気持ちに満たされた。

前置きが長くなったけど

あのさ。俺思うんだけどさ。
ま、混入するのが嫌な気持ちはわかるんだけど。
ペヤング食べられないのって大きな損失だよね。
いや、僕ら食べられない人は代用品があるけどさ、まるか食品株式会社の人たち年越せたのかな?

僕ね、仮にゴキブリ入ってたとしてもそれは食べないけど、次買ったのに入ってなかったら食うよ。

今回のマクドナルドなんて歯が入ってたんでしょ?入らんって。普通。どんだけおじーちゃん雇ってるんよ。それか嫌がらせ?
マクドナルド応援しないけどさ。
ワタミの弁当にネジでしょ?煮物に鉄分?
いやいやないって。

多分さ、クレーマーも多いんだと思うよ。実際。

僕が思うのはね、混入していることって発端はなんだろう?って考えないのかな?って思うわけさ。それってあまりにも日本人が偉そうになったからじゃないかな?って思うのよね。でも安くしろ!はやくしろ!美味いものにしろ。無理だって。

ファストフードとかセントラルキッチンが良いとは思いませんよ。やっぱりご飯炊いて家でちゃんと作ったのが一番さ。でも社会がそれを許さないっていうか、そんなことしてられない人が大勢いるって事もわかる。わかるよ。

でもその原因なんだろう?って考えた時に、複数ある原因から自分に近しくて、それでいて何らか改善できることを見つけていくのが一番良いと思うんだ。

僕はまずはそういうことがあっても怒らないとかが一番じゃないかなって思うんだよね。
たかだかゴキブリはいってたって死なないし。
企業側も努力するはずだからさ。しないのかな?

そんな企業潰れるって。

ただ、まるか食品は頑張ってんだから、あそこまで叩かれる必要ないって思うんだよ。

ほんと、もう少し寛容でいようよ。

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